暗号資産の税金が20%になる本当の理由
暗号資産の税金は現在、雑所得として最大55%かかりますが、令和8年度税制改正大綱では申告分離課税20.315%への移行方針が示され、施行は2028年1月を想定しています。対象資産の条件と、今の申告がどう変わるのかを国税庁の案内をもとに整理しました。

「暗号資産の税金がついに20%になる」というニュースを見て、次の確定申告から税率が下がると思っていないでしょうか。実際には2026年12月に公表された令和8年度税制改正大綱で示された方針であり、施行は2028年1月からを想定した段階です。しかも対象になる暗号資産には条件があり、すべての保有分が自動的に対象になるわけではありません。
今の税金がなぜ「最大55%」になるのか、3つの数字で見る
現行制度では暗号資産の売却益は雑所得として総合課税の対象になります。給与所得など他の所得と合算した上で累進税率が適用されるため、所得税と住民税を合わせた実効税率は最高で約55%に達することがあります。さらに、暗号資産の損失を他の所得や株式の譲渡益と損益通算することはできず、その年の暗号資産取引の中でしか損失を活かせません。損失の翌年以降への繰越控除も現行制度にはありません。この3点が、暗号資産投資家が長年指摘してきた負担の重さの正体です。
雑所得(現行) vs 申告分離課税(改正後)で何が変わるか
令和8年度税制改正大綱が示した方向性は、暗号資産を「金融商品」として位置づけ直し、申告分離課税(税率20.315% = 所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)を適用するというものです。あわせて3年間の損失繰越控除と、対象となる暗号資産同士の損益通算も導入される見込みです。
- 対象は「特定暗号資産」に限定される見込み — 金融商品取引業者登録簿に登録された事業者が取り扱う暗号資産が想定されており、無登録の海外取引所での保有分などは対象外になる可能性があります。
- 施行は2028年1月以降を想定 — 金融商品取引法の改正が2026年の通常国会で成立し、2027年中に施行されることが前提の日程です。
- したがって今年・来年の確定申告は引き続き雑所得(総合課税)で行う必要があります。
特定の取引所や銘柄を推奨する趣旨ではありません。どの取引所を使うにしても、取得時期・取得価額の記録を今のうちから残しておくと、制度が変わった際の対応がしやすくなります。
よくある質問
今年の利益にはもう分離課税は使えないのですか?
使えません。施行時期が来るまでは現行の雑所得(総合課税)として申告する必要があります。
海外取引所での保有分はどうなりますか?
「特定暗号資産」の要件は金融商品取引業者登録が前提とされており、無登録の海外取引所での取引が対象に含まれるかは今後の詳細制度設計次第です。
今回の改正大綱が意味するのは、暗号資産の税負担が誰にでも一律に軽くなるということではなく、登録業者を通じた特定の暗号資産に限って金融商品並みの課税に切り替わるという制度の再設計です。この記事は令和8年度税制改正大綱と国税庁の現行案内に基づく一般的な説明であり、実際の適用範囲や施行時期は今後の法改正の進捗によって変わり得るため、最新情報は国税庁や税理士に確認してください。
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